【ますとフォロワーズ日記】
Vo.4 影山庸子 先生 (スタッフ)
子どもの発達
みなさま、はじめまして!3月からますとスタッフに加わりました。
臨床発達心理士で公認心理師の影山と申します。どうぞよろしくお願いします。
「発達」という言葉は、どうしても乳幼児期や学童期などの一般的な成長期をイメージしてしまいますよね。
しかし発達心理学における発達とは、実は子どもなどの若年期に限ったものではなく「受精から死に至るまでの、心身の変化とその過程」のことなのです。
(つまりこれを読んでくださっているみなさまも、まだまだ発達期なのです!)
ですが、今回は子どもの発達についてお話ししたいと思います。
どうしたら子どもの発達を促すことができるのか。日々のお掃除や整理整頓など、集中するための環境調整や、様々なアクティビティやよみきかせ、療育などのトレーニング…どれも子どもの発達を促しますが、実は何よりも本人がその課題に「主体的に」取り組む」ことで成長を獲得できるものなのです。
大人でも、嫌々やることは習得しにくいし継続できないものですよね。(心当たりがあり過ぎて遠い目…笑)
では、子どもが課題に主体的に取り組めるようになるために大人が支援するコツとはどんなものがあるのでしょうか?
①何かをするとき、いくつかの選択肢の中から子どもに選ばせる
例えばごほうびシールを活用するときのシールを選んでもらうなど、ちょっとしたことでもよいです。
②まずは大人がお手本を見せる
ことばで指示されてもイメージができず何をしてよいかわからないことがあります。大人が楽しそうに何かをしていれば、子どもは興味を持ち「やってみよう」と思えます。できたらすかさずほめます。
③子どもの問いかけに答える前に「どうしてだと思う?」と聞いてみる
予想やイメージすることは、考えを深めるトレーニングにもなります。たとえそれが間違っていても、そういう考え方もあるのね、と感心して認めるとよいでしょう。
④失敗したとしても、そのチャレンジを認めてほめる
応援されたり認めてもらうことで、子どもはふたたび課題に立ち向かう力をもらえます。成功したときは一緒になって喜びを分かち合います。
これらを積み重ねることで自己効力感(自分ならできる、達成できるという気持ち)が育ち、課題に主体的に取り組むことが出来るようになるのです。
ますとでは、私たちスタッフが専門的な技術を持って、その子の特性やその子に合った支援をすることで発達を促していきます。
子どもの発達にはそれぞれの敏感期(または臨界期)がありますが、心の発達には本来ならば限界はありません。何歳になっても人は成長できます。
ですが、人からは些細に思われるようなつまずきでも、もう限界(できない、わからない、無理!)と感じてしまう人がいるのはなぜなのでしょうか?
それぞれの性格や特性に加え、もしかすると幼少期など心の発達の基礎力作りで特に重要な時期に、本人なりの思いやがんばり、興味を持ったこと、小さなチャレンジなどを様々な事情で大人が上手にキャッチすることができず、怠けやいたずら、反抗、努力不足などの悪いことと感じて対応したことによる、何らかの失敗体験の積み重ねで自己肯定感が下がってしまった(自分はどうせダメなやつだ、自分が悪いんだ、と思い込む)ことによって心の発達が阻害されてしまったことが停滞してしまった原因のひとつかも知れません。
もちろん失敗体験は悪いことばかりではなく、限界を知ることや成長するきっかけになることもありますが、それが積み重なればやる気を失ってしまうのも理解できますよね。
個々の特性による行動を大人の思い込みや常識ではかってしまうと、子どもはもちろん支援する大人もつらい思いをすることがあります。
ましてや、わが子の成長を願う親なら「なぜこんなことができないのだろう」「どうしてこんなことするの」と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、発達してできるようになる、または自己コントロールができるようになるためには、主体的に課題に取り組むための「やればできる」と思える基礎的な力が必要になります。
そのために上の①~④で示したような支援のコツが役立つと思っています。
本人なりのがんばりや興味を惹かれるもの、好奇心や小さな変化などを見逃さずに子どもの発達を支援したいと思っています。
なぜそうしたか・感じたかを本人聴き、その特性をアセスメント(心理検査に加えて、日常の言動や興味などを分析)し、心の動きや行動を理解した上で、その子に合った方法を試行錯誤しながら発達を支援します。
そのことが、今現在や少し先のわかりやすく目に見える発達だけではなく、やがて大人になって社会に立ち向かう子ども達の人生を支える力になると信じています。
と、なんだか長々と偉そうにお話ししましたが、もちろん私も発達の途中です。これからも頑張ります!笑
影山 庸子